マーケティングの戦略を決める上で、「AIDMA（アイドマ）」と「AISAS（アイサス）」という2つの法則があります。
両者とも、顧客が商品やサービスを認知してから購入するまでの行動プロセスをモデル化した基礎概念です。
両者の使い分けは難しく、混同しやすいです。
この記事では、マーケティング初心者へ向けたAIDMAとAISASの違いとメリットを解説します。
AIDMAとAISASの言葉の意味や購買行動モデルの変化について理解した上で効果的なマーケティング施策をしましょう。
ADIMAとは、顧客が購入を決定するプロセスを説明したモデルの1つです。
AIDMAは「Attention、Interest、Desire、Memory、Action」の頭文字になります。
では、5つのプロセスについて1つずつ見ていきましょう。
まず、顧客は商品やサービスの存在を知ります。これが「Attention（注意と認知）」です。
顧客が将来的に購入に至る場合には、必ず知ることから始まります。
テレビの広告やSNS、インターネット、情報番組などから顧客は商品やサービスの存在に気づくんです。
次に、その商品もしくはサービスに興味を持ちます。これが「Interest（関心）」です。
商品やサービスの存在を知っても、興味関心につながらなければ、何も始まりません。
「これよさそう」「面白いサービスだな」「自分の悩みを解決できる商品かも」「商品についてもっと知りたい」など、興味を抱く段階です。
顧客にとって興味関心の度合いが高ければ、高いほど自ら情報収集を始めることもあります。
そして、その商品やサービスをほしいと思うようになるのが、「Desire（欲求）」です。
顧客が「これが欲しい」「この商品を使ってみたい」「このサービスをやってみたい」と欲求が高まる段階です。
顧客がほしいと思った商品やサービスをすぐに購入するとは限りません。
その場ですぐ購入できない場合は、その製品を記憶します。
この行動が「Memory（記憶）」にあたります。
AIDMAの最後の行動プロセスとなります。
最終的に顧客が実際に商品やサービスを購買する段階が「Action（行動）」です。
住宅や自動車のような認知してから購入までに何度も検討を繰り返す商品や店舗で購入する商品などは特に、AIDMAが有効だとされています。
AIDMA活用には2つのメリットがあります。
顧客の心理状態は、購買行動のすべての段階において異なります。
つまり、企業が提供する情報も、そのとき顧客がどの段階にいるかによって、変えていく必要があるんです。
例えば、サービスを認知していない顧客に申込書を渡したとしても効果は期待できません。
AIDMAを活用すれば、そのような顧客の心理状態とズレたマーケティング活動を防ぐことが可能です。
AIDMAを活用すると、どの段階で顧客を次のステップへ繋げられていないのか、マーケティング施策の弱みを知ることができます。
例えば、ゲームのアプリを紹介する広告バナーがクリックされているにも関わらず、サービスの申込みが極端に少ない場合、「Desire（欲求）」段階が不足していることがわかります。
「Interest（関心）」から「Desire（欲求）」へアプローチする方法を改善することで、申込みを増やせる可能性があります。
AISASとは「Attention、Interest、Search、Action、Share」のプロセスを踏む新しい購買行動モデルです。
インターネット普及により、Search（検索）とShare（共有）が含まれているのが特徴となります。
AISASにおける「Search（検索）」は、商品やサービスを認知した顧客が、検索エンジンやSNSを使って詳しく調べようとする段階です。
「Share（共有）」は商品やサービスを購入、利用した顧客が、SNSや口コミサイトにレビューを書き、他の顧客に情報を伝える行動のことを指します。
AISASの特長は、購入後の顧客の行動による新たな循環が起きることです。
顧客が商品やサービスのレビューをインターネット上に投稿し、その情報に他の顧客が興味を持ち、商品やサービスを購入するようになる好循環が生まれることがメリットです。
AISASでの商品の購入は消費行動の一部であり、最終ではなくなりました。
顧客から商品やサービスについての本音が共有されることで、企業とは異なる広告宣伝効果を発揮するのです。
AIDMAとAISASは似ていますが、違いがあります。
AIDMAは1920年代に提唱されたモデルですが、AISASはインターネット普及後の2005年に大手広告代理店の電通が提唱したモデルです。
AISASはAIDMAをベースにインターネット時代に対応させた新しい購買行動モデルです。
AISASは、AIDMAの「Desire（欲求）」と「Memory（記憶）」が「Search（検索）」に置き換えられ、「Action（行動）」の後に「Share（共有）」が追加されるという違いがあります。
インターネットの普及により、AIDMAのプロセスはもはや古いと言われるようになってきました。
近年では、インターネットやSNSを想定したAISASやAISCES、SIPS、DECAXなどの購入行動モデルも注目されています。
AIDMAが古いと言われる理由は3つあります。
AIDMAが古いと言われる理由を知り、「AIDMAは古くて使えないのでは?」と思ったかもしれません。
確かに、現代はAISASを始め、AISCES、SIPS、DECAXなどの新しいモデルが登場しています。
しかし、これらの新しいモデルはほとんどAIDMAから派生しているものです。
時代が変化したとしても、購買行動における顧客の本質は大きく違いがないと考えられています。
そのため、まずはAIDMAをしっかりと理解してから、AISISや他の新しいモデルを活用していくことが大事だと言えるでしょう。
時代とともに購買行動モデルは変化していきますが、AIDMAがすべての購買モデルの始まりであるため、根本的な考え方を理解しておく必要があります。
マーケティング施策における選択肢を増やすためにも、AIDMAとAISASの知識と理解を深めておくといいでしょう。
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